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3D計測(3Dスキャン)を依頼する際のポイント:準備すべき情報とプロセスを解説
2025.06.23こんにちは。テクノブレイン デジタルソリューション事業部です。
最近、3D計測(3Dスキャン)や点群データについてのご質問を多くいただいています。特に「3Dスキャンを依頼したいが、何を準備すればよいのか」、「依頼から納品までの流れはどうなっているのか」といった疑問が寄せられています。
実際、初めて3Dスキャンサービスを利用する方にとっては、どこから手をつければよいか分からないことが多いと思います。そこで今回は、3Dスキャンを依頼する際に失敗しないためのポイントをまとめました。
依頼時に準備するべき情報、ワークフロー、費用感、作業時間の目安、さらには実際の事例を交えて、スムーズに作業を進めるための実践的なアドバイスをお伝えします。

1. 3Dスキャンを依頼する前に準備するべき情報
3Dスキャンを依頼する際、スムーズに進行するためには以下の情報を事前に準備しておくことが重要です。
① スキャン対象の面積
対象の面積やスキャンするエリアを明確にしておくことが必要です。これにより、使用する機器の選定、作業時間の想定を行うことができます。
提出いただきいたいもの:図面(または大体の面積が分かる資料)、画像
② スキャンする目的と用途
点群データがどのように使用されるかによって、必要な精度やスキャン方法が異なります。
③ 納品データのフォーマット
どの形式のデータを必要としているのかを明確にしておくことで、無駄なやりとりを減らすことができます。
④ 希望する納品日
大規模な物件の場合、スキャン後のデータ処理にも時間がかかります。スケジュールに余裕を持たせ、可能な限り早めに希望納品日を伝えることが重要です。
2. 依頼から納品までのワークフロー
3Dスキャンサービスの依頼から実際の作業までの流れは以下のステップに従って進みます。
① ヒアリングと要件確認
提出いただいた図面や画像を確認し、スキャンの目的、納品データ形式などの聞き取りを行います。
② 現地調査(必要に応じて)
大規模または複雑な現場では、作業員が現地調査を行い、環境条件やスキャン範囲を確認します。
③ 見積作成
調査結果や要件に基づいて、作業内容や必要機器、作業時間、費用感を算出し、見積書を提出します。
④ スケジュール調整
作業日程や作業員の配置を調整し、スケジュールを確定します。
⑤ 機材準備
必要に応じてレンタル機器の手配や、現場で使用する機器の準備を行います。
⑥ 現場でのスキャン作業
現場にて3D計測作業を実施。作業の安全性と効率を考慮し、スキャン範囲や環境に合わせた機器を使用します。
⑦ 点群データ編集
取得した点群データのノイズ除去、トリミングを行います。3Dモデリングを行う場合はここから各種ソフトに点群をエクスポートして作業を行います。
⑧ データ納品
ご指定のフォーマットで点群データを納品いたします。必要に応じて、点群ビューワーやデータの閲覧に適したPC環境の整備についてもサポートいたします。
3. 3Dスキャンの費用感と見積もり
3Dスキャンの費用はさまざまな要素によって変動します。見積もりを依頼する際は、以下のポイントを考慮してください。
① 面積と複雑さ
スキャン範囲の面積に加え、障害物の多さや間仕切りの有無が費用に影響します。
何もない倉庫と、配管や機器が密集した機械室では、同じ面積でも作業時間が大きく異なります。
② データ精度と用途
点群データの用途によって、スキャンにかかる時間が変わります。例えば、単に3Dで閲覧するだけの場合、比較的簡単なスキャンで済むことがありますが、3Dモデリングに使用する場合は、より詳細で高精度なデータが求められ、スキャン時間が増加します。
③ データ処理と納品形式
スキャン後のデータ処理(ノイズ除去、3Dモデル化など)や、納品データ形式によっても費用が変動します。
④ スケジュールと作業時間
緊急の依頼や短納期のプロジェクトは、通常の作業よりも割増料金が発生する場合があります。
4. 作業時間と納期の目安
3Dスキャン作業の時間や納期は、対象や作業環境に応じて変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。
① 1日に対応可能な面積の目安

工場:約2000㎡

機械室:約500㎡

倉庫:約5000㎡

住居・オフィス
約:1000㎡
② データ処理時間
基本的な点群データの処理: 3~5日
詳細な点群データ処理: 1~2週間
③ 納期の目安
スキャン作業とデータ処理の合計期間により、最短で数日~2週間程度が一般的です。大規模・複雑なプロジェクトでは、納期が1ヶ月程度になることもあります。点群から3Dモデリングを行ったり、図面を作成する場合は数か月が目安となります。
5. 事例紹介
3Dスキャン技術は多くの業界で幅広く活用されています。ここでは、弊社が手掛けた主な事例を通じて、実際の現場での活用方法をご紹介します。
事例①:改修工事

スキャン対象:設備機械室
スキャン面積:約200㎡
作業時間:5時間
納品データ:点群
納期:作業後4日
課題:設備や配管のリニューアル工事にあたり現状を図面化したいが、配管が複雑に入り組んでいて通常の方法での現調が難しい
ソリューション:複数の3Dスキャナで床面から高所までの配管を3段階に分けてスキャンを行い、点群として保存。施工に使用できる点群データを作成
事例②:工場レイアウト変更

スキャン対象:製造工場
スキャン面積:約5000㎡
スキャン時間:13時間
納品データ:点群、3Dモデル
納期:作業後1ヵ月
課題:機器の入れ替えが頻繁に行われるためレイアウト変更を行う機会が多いが、高さがある機器もあり2D図面で検討を行うには限界がある
ソリューション:工場内の現況を3D計測した点群データ内に新機器の3Dモデルを配置してスペースの確認を行う。点群をモデリングすることで今後のレイアウト検討に使用できる3Dデータを作成
事例③:内装検討

スキャン対象:商業施設
スキャン面積:約2000㎡
スキャン時間:2時間
納品データ:点群
納期:計測後4日
課題:商業施設の新築工事でBIMモデルを使用して内装検討を行いたいが、建築工事施工中に生じた変更がBIMモデルに反映されないことが多く、内装施工時に現場と整合性が取れないことがある
ソリューション:内装工事を行う直前に3D計測を行い、点群をBIMモデルに重ね合わせてBIMモデルの修正を行うことでモデルと現場の不一致を解消
以上のように、3D計測の作業時間は、対象の面積だけでなく目的や使用するシーン、求められる精度によって大きく変わってきます。
そのため、「まずはご相談いただくこと」が、失敗しない3Dスキャン依頼の第一歩です。
現場の状況やご要望に合わせて、最適な方法をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。