Technical Blog技術ブログ

3D計測・モデリング​

3Dスキャンの費用はどう決まる?:面積だけでは分からない見積りの考え方

2025.11.21

こんにちは。テクノブレイン デジタルソリューション事業部です。

今回は、3Dスキャンで多くの方が一番疑問に思われる「費用」について解説します。
3Dスキャン(3D計測)の見積りは、一般的に「面積」で説明されることが多いかもしれません。しかし実際には、同じ面積でも現場の内容によって作業時間も費用も大きく変わります。

本記事では、3Dスキャンの費用がどのように決まるのかを、実例を交えてわかりやすく解説します。

1. はじめに:3D計測の費用は面積だけでは決まらない

3Dスキャンの費用は、単純に床面積や延べ面積で計算されると思われがちです。
しかし、現場の状況によって必要なスキャン数や作業工数は大きく変わります。
面積だけで見積もると、費用が高くなったり、逆に精度が不足して再計測が必要になることがあります。

2. 面積だけでは費用が決まらない理由

例えば、次の2つの部屋をご想像ください。

(A)何もない広い倉庫
(B)配管が複雑に走り、機器が密集した機械室

面積が同じでも、必要なスキャン回数・作業時間・後処理の工数は全く異なります。

(A)何もない広い倉庫

・障害物がなく、死角が少ない
・少ないスキャン数で全体をカバーできる
・後工程もシンプルで時間がかからない

(B)配管が複雑に走り、機器が密集した機械室

・配管やダクトで死角が多い
・スキャナの位置や高さを細かく変えながら数十箇所スキャン
・後処理も複雑で、ノイズ除去や合成に時間がかかる

このように、同じ面積でも作業負荷は2倍〜5倍以上に変わることがあります。つまり、面積だけで費用を決めてしまうと、

不要に高い見積りになる
逆に品質が足りないまま案件が進んでしまう

などの問題が生じる可能性があります。

3. 費用を最適化するための事前ヒアリングの重要性

3Dスキャンの見積りでは、単に面積だけでなく、現場の複雑さや用途に応じた作業量・後処理・使用機材などを総合的に考慮する必要があります。弊社では以下の情報を事前に確認しています。

  • 図面
  • 現場写真
  • 点群データの用途(モデリング用、設備更新用、維持管理用など)

これらの情報を総合的に判断して見積りを作成します。
3Dスキャンの見積りは一般的に以下のような構成になっています。

見積の主な構成要素

※「諸経費」とは、3Dスキャン本体の作業以外で必要となる付帯コストで、プラント計測や大規模案件では、点群データが1TBを超えることもあるため、別途ストレージ管理費が必要となります。また特別なフォーマットでの報告書作成、入構申請や道路使用許可などの事務作業費、安全管理に関わる対応費などが含まれます。

図面や写真を確認することで、必要な作業量や機材を正確に予測でき、後処理工数も見積もりやすくなります。また、用途を把握することで、必要以上に密度を上げて、費用やデータ量が膨らむことを防ぎ、精度不足による再作業も避けられます。

事前ヒアリングは少し手間がかかる場合もありますが、無駄な費用を抑えつつ、必要十分な品質の点群データを提供するための重要なステップです。

4. まとめ:費用は「現場の複雑さ × 用途」で決まる

3Dスキャンの費用は、面積だけでなく以下の条件によって変動します。

・配管や機器等の密集度

・死角の多さ

・高所設備の有無

・必要精度・データ用途

・作業の緊急性

弊社では、現場ごとの最適な計測プランを作成し、予算内で最大限の精度を引き出すことを重視しています。

3D計測・モデリングページへ

5. FAQ:3Dスキャンの費用についてよくある質問

Q1. 見積りに必要な現場情報はどこまで提供すればよいですか?

A1. 基本は図面、現場写真、点群データの用途です。見積りは資料がなくても作成可能ですが、情報をいただくことでより精度の高い見積りが作成でき、当日の手戻りも防ぐことができます。

Q2. 当日追加でスキャン箇所が出た場合はどうなりますか?

A2. 必要に応じて追加作業は可能ですが、追加工数として別途費用が発生する場合があります。事前ヒアリングで可能な限り把握することが望ましいです。

Q3. 見積りに含まれる「後処理」とは何ですか?

A3. 点群の合成(レジストレーション)、ノイズ除去、カラー補正、フォーマット変換など、スキャン後の作業全般を指します。現場の複雑さによって工数は変わります。

Q4. 高所や危険箇所のスキャンはどう扱いますか?

A4. 高所用の三脚(最大7m)を使用して高い位置からスキャンを行いますが、安全上の理由でスキャナを設置できない場合があります。その場合は、事前にお知らせし制限を加味して見積りを作成します。

Q5. 3Dスキャンの費用はどのくらいかかりますか?

A5. 現場の複雑さや必要精度によって変動しますが、1日稼働の目安は以下の通りです。

・単純な倉庫など:約15万~30万円/日
・配管や機器が密集した複雑な現場:約20万~40万円/日
※特殊条件がある場合は追加費用が発生することがあります。

Q6. 作業時間や納期はどれくらいですか?

A6. 一般的な時間の目安はこちらのブログ記事をご覧ください。

作業時間と納期の目安

Q7. 過去の現場実績はどのくらいありますか?

A7. 工場、プラント、機械室、商業施設、文化財など、幅広い現場で3Dスキャンを実施しています。複雑な配管や高所設備がある現場でも、安全かつ効率的に計測し、点群データを提供しています。

過去の事例はこちらのブログ記事をご覧ください。

事例紹介

Q8. 見積りの依頼方法は?

A8. まずはお電話またはHPのお問い合わせフォームよりご連絡ください。追ってこちらからご連絡を差し上げ、見積に必要な資料をご送付いただきます。見積作成にかかる時間は、特殊な場合を除き数日です。


3Dスキャンの費用は、現場の状況や用途によって変わるからこそ、事前の情報共有がとても大切です。

私たちは、できるだけ無駄のない費用で、現場に合った最適な点群データをお届けできるよう心がけています。
3D計測のご相談や、費用感を知りたいだけでも構いません。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

SNSでシェアする

X(旧Twitter)
LINE
FaceBook
ページトップ